「蕎麦を鑑定する」とは、どういうことか

「蕎麦鑑定士」は、「こちらの店より、あちらの店のほうがおいしい」などと比較評価して、順位付けする人のことではありません。供された一枚の蕎麦について、「この蕎麦は、こういうところを賞味すれば、その良さを、より楽しむことができる」というふうに、蕎麦の持ち味を理解できる人のことです。

蕎麦というものは、食味が極めて不安定で、同じ人が打った蕎麦でも、毎回味が違ってしまうくらい難しいものです。
蕎麦は、どこの産地で栽培したか、どの生産者が栽培したかによって、味は大きく変わりますし、その年の気候や、播種時期、収穫の時期などによっても違ってきます。
さらに収穫の方法や乾燥の方法、その後の保管の仕方によっても変化します。
もちろん製粉の違いによる味の差は大きなもので、最終的にそれを打って仕上げる職人の技量や考え方で、蕎麦という食品の味は、まったく違ったものになります。
そういうところが、蕎麦の難しさであり、同時に、面白さでもあるのです。

これだけ捕らえ所がない、難しい食べ物ですから、蕎麦の好きな方々は、その味が決まる理由について、興味を持つのです。
蕎麦が奥が深いといわれる、大きな理由が、ここにあります。

これらひとつひとつの事柄について深い知識を持ち、目の前に置かれた一枚の蕎麦の良さを、適正に評価する。これが、蕎麦鑑定士の認定制度では、「蕎麦を鑑定する」ことであると定義付けています。